お買い物、のお話
最近、お買い物について考えることが多い。
きっかけは母の振る舞いでした。
母と2人で雑貨屋さんに行った時のこと。
気に入った箒を見つけた様子の母(実家のお掃除はハタキと箒)。
でもどうやらサイズが気になるようで、もう少し大きいのが欲しいとのこと。
インターネットで調べたら、どうやらお望みのサイズは存在して、しかもその雑貨屋さんで買うよりも安い。
そのことを母に伝えると「やったね!」と言って、雑貨屋さんに声をかけた。
「この箒のこのサイズ、取り寄せてもらえませんか?」
「??」
ネットの方が時間がかからないし、何より安い。
なんでわざわざそんなことをするんだろ?
尋ねてみると当たり前のように母は答えた。
「このお店のおかげでこの箒には出会えたんだから、そこにお金を落とすことを考えなきゃね。」
自分の母親ながら、とても素敵な考え方だなって。
資本主義ってあまりいいイメージはなかったけれど、そこに「ありがとう」の気持ちが込められたとき、使う側も使われる側もお互いに支えられているって意識が芽生えるんだな。
そして、この言葉を聞いてから「自分がここにお金を落とすことは、どんな未来につながっていくのか」ってことも考えるようになりました。
僕の母はあの瞬間、「安さ」や「便利さ」ではなく、出会わせてくれた雑貨屋さんが残る未来をえらんだ。
じゃあ僕は、どこにお金を落として、どんな未来を選ぼうか。
こないだコーヒーミルを買いました。
(左側のやつ)
コーヒーを始めた時からずっと憧れだったザッセンハウスのブラジリア。
今までは自分には早いんじゃないかと思ったけれど、覚悟を決める意味合いも込めて買うことを決意。
ここでちょっとした葛藤がありました。
Amazonで買うと7000円
行きつけのコーヒーのお店だと12000円
貧乏大学生には5000円の差は結構でかい。
でも結局少し我慢はして、行きつけのお店で買いました。
5000円の違いは大きいけれど、自分の好きなお店が未来がつながる方にお金を落としたかった。
結果的に、そのミルには自分で物語を付与することができて、より愛着が湧いた気がします。
(ご厚意で10000円に値引きしてもらえた。)
同じような選択はお買い物の度に行われていて。
お昼をコンビニで買うのか、パン屋さんで買うのか。
そんな日常にも、実は選択を迫られてる。
そういう視点に立つと、「お金を使う場所」はその人の価値観の表れなんだなって思えてきます。
この話し方だと、コンビニやAmazonがよくないと言っているように聞こえてしまうけれど、そういうことが言いたいのではないのです。
僕も、知らない街を1人で歩いる時、無性に寂しくなって、心が受け入れられるのはコンビニのおにぎりだけの瞬間がありました。
あの時確かに、泣きながら食べたローソンのシーチキンおにぎりに助けられました。(これだけ聞くとヤバイやつですね笑)
Amazonだって買い物に行けない人や場所にとってなくてはならないものになっています。
とてもすごいことです。
僕は、世の中に便利なお店ばかりの未来はあまり楽しくないんじゃないかなって思うから、物語を感じられる場所にお金を落としているだけで、そういった場所にお金を落とすことを否定したいのではなくて。
それが未来に対する想像とか「ありがとう」の気持ちがこもったお金であるなら、どこに落ちていったっていいのです。
ただ、僕がもったいないなと感じるのは「なんとなく」使っているお金。
それが想いのこもったお金に変わったら、楽しいんじゃないかな。
こんなお話をした時に、香美町のワークショップで出会ったパーリー建築の宮原さんから、「vote money」という言葉をいただきました。
「お金を使うということは、どのお店やサービスが残っていくのか、どんな未来にしていくのかを決める選挙に投票しているということ。」
という意味の言葉です。
とてもしっくり。
人の視野を広げられる言葉だなって思いました。
うまく言えないですが、この言葉がもっと浸透した先に、いまよりもう少しなめらかな社会がある気がします。
ここまで大層偉そうにお話をしてまいりました。
言葉は怖いですね。でも言葉を恐れながらも、言葉を使わずにはいられないのです。
この文章でちょっとでも不快になった方、いらっしゃったらごめんなさい。
ここまでだと、考えてお金を使えよ!って表現になっているような気がしますが、そうではなくて、この文章はあなたへのお誘いです。
うまくまとまっていませんが、モノがたくさんあるだけでは担保できない本当の意味での豊かさとか、”なめらかな社会”はこっちの方角にあるんじゃないかなと思っています。
そして、気持ちを込めてお金を使うのは、そのめんどくささを補って有り余るほどの”楽しさ”がある、とも。
だから、「確かになぁ」とか「試しに…」って思ったら、たまに思い出して、同じ方角に歩いてみてください。
正直僕自身、こっちなかなって思ってはいるものの、1人だと心細いんです笑
読んでくれているあなたが明日、「お昼なに食べよっかなー」って考えている瞬間、思考の片隅にこの話の居場所があればとても嬉しいです。
それとこれを書きながら、「ここにお金を落としたいな」って思えるお店に出会えたことは、とても幸せなことなんだなって思いました。
滝上さんいつもありがとうございます。
長々と付き合ってくださってありがとうございます。
今回は、この辺で!
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